日本の贈り物文化

12月は1年の中で最もギフトシーズンと感じる時期です。その理由はやはりクリスマスの影響が強いでしょう。一方で、古くから日本ならではの冬の贈り物としてあるのは、お歳暮です。しかしながら正直な所、近年お歳暮を贈る習慣はクリスマスの陰に隠れてしまっているようにも思えます。今回は、そうした日本人に定着している贈り物文化について考えてみます。

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幼いころは、クリスマスの朝に届くプレゼントが待ち遠しかったものです。
赤い靴下や緑色のツリーに、キラキラ輝くイルミネーションなど、クリスマスは子どもだけでなく大人にとっても心躍る楽しいイベントです。そのクリスマスの日、12月25日は、イエス・キリストの誕生日ではなく、キリストが生まれてきたことをお祝いする日であります(降誕祭とよばれます)。日本にクリスマスが輸入されたのはいつかというと、16世紀、イエズス会の宣教師たちが持ち込んできました。その後、鎖国や第二次世界大戦の影響でクリスマスは何度か姿を消すこともありましたが、最終的に冬の一大イベントとして今日まで日本に深く浸透してきました。
クリスマスプレゼントに関して言うと、海外ではツリーの下に家族全員分のたくさんのプレゼントが置かれている印象が強いですが、日本では子どもに向けてクリスマスの朝、枕元にそっと届いているといったイメージがあります。
プレゼントを届けてくれるサンタを信じるか信じないかは子どもたちの間で大きな議論になりがちですが、小学校高学年くらいでその実情に気づくことが多いようです。
 
冬の贈り物といえばクリスマスギフトという方が多数を占めそうですが、古くからの贈答文化としてお歳暮があります。
お歳暮とは、読んで字のごとく、年の暮れに贈るものです。通常12月の初旬から25日ごろまでに贈るものですが、クリスマスとも時期が重なるので贈るタイミングは注意が必要です。
お歳暮の由来はというと、そもそもは年始に「年神様」(正月に各家庭に福を招いてくださる神様のこと)や祖先の霊などに感謝の意味でお供えものをしていたことが始まりです。誰に贈るものかで言うと、基本的には感謝の気持ちを伝えたい方であれば特に制限はなく、あくまで「1年間お世話になりました」という気持ちを贈り物としてかたちにしているものです。夏に贈るお中元は半年間の感謝を伝えるものですが、お歳暮は1年間の感謝になるので、お中元よりもさらに重みのある贈り物といえるようです。

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特に若い世代にとっては、お歳暮文化はクリスマスの陰に隠れて馴染みが薄いのが正直なところでしょうか。最近では企業間での贈答も減少。理由としては虚礼(気持ちのこもっていない形だけのものという意味)廃止の観点からが多いようです。

本来は人間同士のつながりを大切にするための贈答として、季節ならではの品を贈り合う文化であるお歳暮。
形だけになることなく、贈る季節や贈る相手を想った上でのギフトを用意したいものです。今年はクリスマスプレセントの購入とあわせて、日ごろお世話になっている人へお歳暮ギフトも検討してみてはいかがでしょうか。

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