日本語らしい表現

日本語は世界の言語の中でも習得するのが難しい方だと言われます。
大人になってからも、そんな日本語は初めて聞いた、なんてことがよくあるものです。ただ、その難解さの中に、日本人らしい繊細で心豊かな表現が隠れているのも確かです。
どのような表現があり、どういった背景からそれらは生まれたのでしょうか。

今回は、自然の情景をあらわす言葉に焦点をあててみますが、そもそも「情景」という言葉自体、説明がしにくいものです。
情景とは、「人間の心の働きを通して味わわれる、景色や場面」のこと。
因みに英訳すると、“A view or scene that is experienced through the human mind.”で、すぱっと英単語1語で翻訳できるものではありません。

こういった少々ややこしくもある点が、まさに日本語らしい表現といえます。

 

2つ例をあげてみます。 

ひとつめは、「木漏れ日」。

木々の隙間から射す光を意味し、
自然が生み出す影と光の美しいコントラストをイメージすることができます。
その様子に対して木漏れ日と名付けられました。
時間帯や季節によって木漏れ日の情景はその姿を変え、そこから感じるものも人によってさまざまです。

 

季節を感じさせる言葉としては、「秋風」。

8月、お盆を過ぎたあたりから、秋の訪れを知らせる涼しい風が漂い始めます。
また、晩秋を迎えてから吹く風は、少し寂しく切なさを感じさせます。
このように風を通して季節の細かな移り変わりを感じとるあたりも、日本らしい機微であるように思います。

 

こうした自然の情景に対して、人々はなぜ名前をつけようと思ったのでしょうか。
確かな答えは分かりませんが、美しい情景から得られる感動を端的に伝え合うためだったのではないかと推測します。
それらは、会話の中だけではなく、時に和歌や小説の中で文字にも起こされることで、私たちの生活に彩りを与えてきました。
じっくりと自然を見つめる古来からの日本人の態度によってうまれた、繊細かつ心豊かな表現は、今も大切に受け継がれています。

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失われつつあるかつての日本の精神をヒントに、一見だれも気に留めないようなワンシーンを切り取り、既成概念にとらわれない自由なかたちで表現します。

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